かずおのスピーチ辞典 作成編〜概論〜

 

このページでは、スピーチの作成に関しての概論を述べます。

 

1. スピーチ作成の基本

1.1. 聴衆のことを考えてスピーチを書く。つまり、相手の立場に立って物事を考える。(これは、スピーチを書く時だけではなく、人間が生きていくうえで決して忘れてはならない心です。)

1.2. 聴衆を自分の世界に引き込み、退屈させないようにして結論まで導いてゆく。

1.3. 聴衆分析をする。

聴衆には、3通りの人がいる。

自分がスピーチをする前に自分のスピーチの意見に「既に賛成である人」「反対である人」「無関心な人」の3通りである。

賛成の人は、自分のスピーチによる変化はあまりなし。(なぜならスピーチ前もスピーチ後も賛成だから。)

つまり、「反対である人」と「無関心な人」を説得しなければならない。その説得する人数が多ければ多いほどスピーチをする意義が大きい。逆に言えば、みんなが既に知っている内容を提供したり、賛成である内容を説得したり、既に行っている提案や解決策を促したりしてもあまり意味がない。

1.4. スピーチでは、目立つことが大事。

・内容の良さで目立つ。

・英語、発音の良さで目立つ。

・デリバリーで目立つ。

 

[かずおの雑談]

目立つことに関してですが、後輩が出たスピーチ大会で、誰もにこりともしない、そんなスピーチが延々と続いていました。休憩に入り、後輩に「全体的にできるだけ笑顔でスピーチしよう」とそれだけ何度も強調してアドバイスしました。休憩後も暗い表情のスピーチが続き、後輩の番。笑顔でスピーチをして目立ってくれました。それが良かったのかどうかは分かりませんが、準優勝してくれました。まあ、「笑顔でスピーチしよう」と言われて、すぐに笑顔でスピーチできる才能のある人なら、入賞は当然かもしれません。普通の人に同じアドバイスをしたら、余計顔が引きつるかも。(^^;

 

2. スピーチの作成段階

Components

Stage

Organization

Illustration

Analysis

Rewrite

PHCS

Logic

1

 

 

7

 

 

8

 

 

9

Introduction

 

Flow

2

Ending

3

Supporting Material

4

 

Paragraph

5

 

Sentence

6

[スピーチの作成段階に関する用語の説明]

Organization (スピーチの論の構成、つまり話の進め方のこと)

Illustration (スピーチをより分かり易く、かつ効果的に表現、描写すること)

Analysis (スピーチをより説得力のあるものにするために分析、検討すること)

Logic Chart (スピーチの論理構造のみを表した図)

Flow Chart (スピーチ全体の流れを表した図)

Paragraph (各パラグラフのトピックセンテンスのみを書き出したもの)

Sentence (スピーチの全文)

 

[かずおの雑談]

Logic? Components? Organization? Illustration? Analysis? Rewrite? よく分からない?

では、三色串団子を思い浮かべてください。

串がLogicで、団子がComponents(P, H, C, Sなどの構成要素)。

そして、いくつかの団子をどう並べたら一番おいしく見えるかを考えることがOrganization。

白い団子に色をつけていく作業が、Illustration (日本語でよく使われる「イラスト」という言葉は、絵に色をつけるものであるが、Speech界における「イラスト」とは、言葉に色をつけるものである)。

それを味見して、さらにおいしい味を追求していく。(Analysis)

細かいところ(見栄えの良さなど)を何度もCheckしていく。(Rewrite)

最後に団子職人のプロに手直ししてもらって終わり。(Native Check)

要するに、串 (Logic) が折れてたら売り物にならない。白い団子 (Illustration無し) は、見栄えは悪くても一応売り物にはなる。

と、こんな無理矢理な例えで分かっていただけたかな? (^^;

 

3. スピーチの構成 (Organization) の例

自分のスピーチに最も合う型を探す。自分の主張を検討して、何を最も強調した方が効果的か考えて型を決める。

3.1. Problem-Solvency Type (略して「P-S型」or「Pro-Sol (プロソル)型」)(主に「Social型」(社会問題))

現状に問題があるので、それを解決して問題の無い状態にするためのスピーチ。トピックの例は、環境問題、日本の役割など。

3.2. Comparative-Advantage Type (略して「C-A型」 or 「Compara(コンパラ)型」 )(主に、「Value型」(個人の価値観の問題))

現状にさして問題点はないのだが、提案の採用により、現状より良い状態にするためのスピーチ。トピックの例は、笑顔の大切さ、人のマナーなど。

3.3. P-S型, C-A型の流れの比較 (かっこ内は、分量の目安)

Components

P-S Type (PHCS)

C-A Type

Chart

Introduction (10%)

Introduction

 

 

Flow

(肉付け)

 

 

Body (70%)

Problem

Under the Status Quo

 

Logic

(骨組み)

Harm(+Seriousness)

Ideal Situation (+AD)

Cause (+Root Cause)

Analysis of the Status Quo

Conclusion (20%)

Solvency

Suggestion

Ending

 

+ Supporting Material

 

[かずおの雑談]

SocialとValueのどちらが有利なのでしょう。板場良久氏 (獨協大学外国語学部助教授、日本コミュニケーション学会関東支部副支部長) は、日米のスピーチコンテスト優勝者のスピーチを分析して、以下のように結論づけています。

日本・・・話者自身の経験や知識を中心的材料 / 聴衆の心情や心構えの変革を重んじる。

アメリカ・・・第三者的資料による論の展開 / 具体的な行動案、解決策を示している。

この分析によると、「日本語のスピーチにおいては、Value、英語のスピーチにおいては、Socialが有利」と言えるのではないでしょうか。

 

3.4. スピーチの構成 (Organization) の具体例

3.4.1. P-S型の例

Introduction 未来の世界の姿

20XX年、世界は水位上昇のため陸地の大半が水没してしまった。 人々は農地不足で飢餓に苦しんでいる。

Problem 現在、世界規模で森林破壊が進んでいる。(Data : 年間に破壊された森林の総面積)

Harm 水位が上昇、住家が水没。気温も上昇する。(Data : 気温・水温の上昇率状況)

Cause 貴重な資源の浪費と良く言われるが、それだけであろうか。 木材輸出国の言い分では、工業力がないため木材輸入で生計を立てざるを得ない。(Example : 海外青年協力隊Aさんの話「彼らには木材輸出が唯一の収入源」) (Data : 木材輸出額のGNPに占める割合)

Solvency

1. もちろん我々は木材の浪費はやめるべき。

2. 政府は、ODA (政府開発援助)を強化して彼らの国の工業化を援助して、 木材輸出に頼らなくても済むようにすべき。

Ending 緑の世界か飢餓の世界か、未来は我々次第。

 

3.4.2. C-A型の例

〜工事中〜

 

4. その他のスピーチの型

4.1. P-S型の変形例

4.1.1. P(S)(Informative Speech)

・Problem自体が十分深刻で、Harmをわざわざ取り立てて説明する必要がないスピーチ。

・ProblemとHarmが周知の事実なので、SolvencyのOriginalityを出したいスピーチ。

・情報提供が目的でProblemを知ることが問題解決の第一歩となるスピーチ。

4.1.2. PS

・Causeがよく知られているスピーチ。

・SuggestionがProblemを直接解決するためにCauseの分析をすることが無意味であるスピーチ。

・Harmを強調することによって問題の重要性を際立たせたいスピーチ。

4.1.3. PS

・Causeを知ることが問題解決の第一歩となるスピーチ。

 

4.2. Exemplification型 (例証型。あることを証明し、訴えるためにいくつか例を並べるもの)

利点 Main Claimをサポートする例をたくさん持っていれば、それだけでスピーチが作れる。Illustrationを色々と工夫ができる。

欠点 しっかりとした話の展開が必要で、初心者がやるとエッセイみたいになりがちである。

例1) Main Claim 歌舞伎は素晴らしいので、見に行きましょう。

Ex.1. 言葉・・・・・一見取っ付きにくいが、実はリズミカルで独自の味がある。

Ex.2. 季節感・・・衣装や舞台のセッティングで季節感を出す。改めて日本の四季は美しいと感じてしまう。

Ex.3. 楽器・・・・・日本古来の楽器が、雨・風・雷をも表現してしまう。

例2) Main Claim 勇気を持って前向きに生きれば道は開ける。

Ex.1. アボット選手の例・・・片腕しかなくても、野球で活躍している。

Ex.2. トロイ君(スピーカーの友達)の例・・・片足を失ったが、日米の文化の架け橋になろうと懸命に生きている。

Ex.3. ホストファミリーの父親の例・・・車椅子の生活をしているが、自分のみの不自由さを嘆くのではなく、ごく普通に人生を楽しんでいる。

 

4.3. Monroe's Motivated Sequence (モンロ−動機配列)

モンロ−動機配列は、80年代にP-S型が登場するまで主流だった型で、現在、一部のスピーカーが再び使い始めています。スピーチの審査員で有名な三熊氏(広島文教大学助教授)のゼミではスピーチを卒業論文にしていますが、この型を使っています。三熊氏のゼミは、毎年、スピーチ大会で入賞者を出し、数多くの優勝スピーカーを輩出しています。このモンロー動機配列は、以下のような流れです。

↓Attention Step

↓Need Step

↓Satisfaction Step

↓Visualization Step

↓Action Step

例) "A Merry Heart" by きのさん (the 3rd Prize of the Notre Dame Trophy 2001, sponsored by ELAS of Notre Dame Seishin University)

[Attention Step]

1. イントロ 「陽気な心は健康を良くし、陰気な心は骨を枯らす。」(箴言 17章22節)引用

2. Preview 笑いの信じられない効果について知って欲しい、そして笑い療法を実践して欲しい。

[Need Step]

3. AD1

笑いは病気を治す

理由:NK細胞を活発にするから

証明:産経新聞、岡山在中のAさんの話。

薬をやめて、一日中お笑いの番組のビデオや、本を読んで毎日笑っていた。 その結果ガンが治った。

4. AD2

笑いはストレス解消になる。

理由:笑うとアドレナリンを減らし、ストレスを軽減する。

証明:IBMやAT&Tは笑い療法士を使ってセミナ−を開き、笑い療法を導入している。

Digital Equipment Corporationによると、笑い療法を取りいれたら、初めの9ヶ月間で病欠が半分に減った。

5. DA

逆に笑わなくて、心配や不安を抱えていたら病気になりやすくなる。

証明:ハ−バ−ド大学医学博士 Dr. Locke 引用

「不の感情を持った生活が増えると、NK細胞が減る」

6. Generalization

毎日笑った方が得でしょ☆

[Satisfaction Step]

7. 吉本を観よう!! NGKに行ってみる、それが駄目ならビデオ借りて観てみよう!!

[Visualization Step]

8. 成功例

笑い療法の専門家 伊丹先生の調査

「吉本新喜劇を観たガン患者の90%はNK細胞が増えて、活性化した」

[Action Step]

9. 聖書の引用をもう一度ここで話す。(額縁構成)

 

[かずおの雑談]

私は、「P1 H1 P2 H2 P3 H3 C S」という変則型で本選出場を果たしたことがあります。子供の教育には、主に4つの型があり、方法1を採用するとHarm1、方法2を採用するとHarm2、方法3を採用するとHarm3が引き起こされる。そしてこれらの3つの型に共通する原因分析 (Cause) をして、それを解決する方法4 (Solvency)を提案しました。審査員の一人に、OrganizationにOriginalityがあって面白いと言われました。結局、自分のスピーチのトピックや主張に一番適した構成を選べばいいのです。

 

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